税金の基礎
カウンセラー・FP・顧問の個人事業税は「コンサルタント業」で5%
結論
心理カウンセラー(公認心理師を除く)、ファイナンシャルプランナー、研修会講師、会社OBの顧問などは、福井県の業種認定基準でコンサルタント業(第3種事業・税率5%)の例に挙がっています。全国では令和6年度に23,094人がコンサルタント業として課税され、平均所得は680.3万円でした。法人化の損益分岐点は事業所得1,266万円(40歳未満・独身)、60〜64歳では1,362万円です。
- 福井県の例示には、経営・技術・ITシステム・美容・旅行のコンサルタント、アナリスト、FP、研修会講師、風水師、祈祷師、公営競技の予想屋、事業所得で申告する顧問、心理カウンセラーが並ぶ
- コンサルタント業は「継続して、他人の依頼に応じ、専門的な知識を必要とする事項について調査・研究し、診断または指導を行う事業」(福井県の定義)
- 事業所得1,000万円(青色申告特別控除の前)の個人事業税は年35.5万円。課税されない業種なら0円で、法人化の損益分岐点は2,198万円まで後ろにずれる
このテーマの全体像 個人事業税の業種と計算方法
カウンセリング、コーチング、家計の相談、企業研修、退職後の顧問。どれも「助言する仕事」で、法定業種の一覧には名前が出てきません。そのため課税されない業種だと思われがちですが、第3種事業のコンサルタント業は範囲が広く、こうした仕事の多くを含みます。
コンサルタント業は「専門知識で診断・指導する事業」
地方税法72条の2第10項は、第3種事業にコンサルタント業を挙げています。福井県の業種の認定基準は、これを次のように定義しています。
継続して、他人の依頼に応じ、対価の取得を目的として、企業経営、科学技術その他の専門的な知識または能力を必要とする事項につき、調査または研究を行い、それらに基づく診断または指導を行う事業
ポイントは「企業経営、科学技術その他」という書き方です。経営や技術に限らず、専門的な知識で相談に応じ、診断や指導をする仕事なら対象になりえます。
福井県の例示に並ぶ職業
福井県の基準が「業種の主な例」として挙げている職業を、分野ごとに並べ直しました。
| 分野 | 例示されている職業 |
|---|---|
| 経営 | 経営コンサルタント(企業診断士、経営士、経営管理士、経営調査士、財務管理士等)、顧問 |
| 技術・IT | 技術コンサルタント(技術士、設計コンサルタント、建設コンサルタント等)、ITシステムコンサルタント、電気監理技術者 |
| 生活・個人向け | 美容コンサルタント、旅行コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、心理カウンセラー(公認心理士を除く) |
| 分析・予想 | アナリスト、物品販売コンサルタント、環境コンサルタント、公営競技の予想屋 |
| その他 | 研修会講師、風水師、祈祷師 |
※ 福井県 個人事業税 業種の認定基準について(第三種事業)第17 コンサルタント業。分野の区分は当サイトが付けた
ファイナンシャルプランナーや心理カウンセラーが名指しで入っている点が目を引きます。風水師や祈祷師まで含まれているのは、資格の有無ではなく、相談に応じて専門的な見立てを示す事業かどうかで判断しているためです。
会社OBの顧問も、事業所得で申告すれば対象
顧問については、福井県の基準にわざわざ注記があります。「会社等のOBの方であっても事業(営業)所得として申告される方は該当します」。定年退職後に元の勤務先や取引先と顧問契約を結び、顧問料を事業所得で申告している人は、コンサルタント業として課税されうるということです。
顧問料が給与として支払われていれば給与所得で、個人事業税の対象ではありません。所得の区分は契約と実態で決まり、自由に選べるものではありませんが、事業所得として申告している事実そのものが、個人事業税の課税の出発点になる点は押さえておく必要があります。東京都の審査会の答申でも、判断はほぼ必ず確定申告の内容から始まっています(個人事業税の審査請求、東京都の答申40件)。
研修講師やコーチは、諸芸師匠業とされることもある
研修会講師は、福井県ではコンサルタント業の例ですが、技能を教える講師・インストラクターは諸芸師匠業の例に挙がっています。コーチングも、内容によってどちらにもなりえます。どちらも第3種事業で税率は5%なので、税額はどちらでも変わりません。講師業の扱いは講師・インストラクターの個人事業税で整理しています。
全国で2.3万人、平均所得は680万円
総務省の統計では、令和6年度に全国でコンサルタント業として個人事業税を課税された人は23,094人でした。所得の合計を人数で割った平均所得は680.3万円です。
この平均所得のまま法人化した場合、計算エンジンでは年32.3万円の不利になります(40歳未満・独身・経費200万円・東京23区)。業種別の平均所得と法人化の比較は個人事業税を払う人は111万人で並べています。
税額と、年齢別の損益分岐点
コンサルタント業の税額は、事業所得から事業主控除290万円を引いた額の5%です。
| 事業所得(青色申告特別控除の前) | コンサルタント業(5%) | 課税されない場合 |
|---|---|---|
| 680万円 | 19.5万円 | 0円 |
| 1,000万円 | 35.5万円 | 0円 |
| 1,500万円 | 60.5万円 | 0円 |
※ 事業主控除290万円/2026年(令和8年)分基準
カウンセラーやFP、顧問には、会社員を経て40代・50代・60代で独立した人も多くいます。年齢によって国民年金や介護保険の扱いが変わるため、損益分岐点も動きます。
| 年齢 | コンサルタント業(5%) | 課税されない場合 |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 1,266万円 | 2,198万円 |
| 40〜59歳 | 1,243万円 | 2,277万円 |
| 60〜64歳 | 1,362万円 | 2,416万円 |
| 65歳以上 | 1,384万円 | 2,416万円 |
※ 独身・経費200万円・東京23区・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社/2026年(令和8年)分基準。実質差額がプラスに転じる事業所得(青色申告特別控除の前)
60歳以降は分岐点が100万円以上後ろにずれます。60歳になると国民年金の保険料がなくなり、個人のままの負担が軽くなる一方、法人化すれば厚生年金の保険料は70歳まで続くためです。定年後に顧問として独立した人の具体的な試算は、定年後に独立した61歳の顧問の法人化試算事例で示しています。
法人化すると個人事業税はなくなり、法人の所得に法人事業税がかかります。法人事業税には業種の区別がないので、コンサルタント業とされるかどうかの線引きは法人化すれば関係なくなります。業種の線引き全体は個人事業税がかからない業種がある。70業種の線引きと計算方法にまとめています。
まとめ
- 専門知識で相談に応じ、診断・指導をする事業はコンサルタント業(第3種・5%)。「企業経営、科学技術その他」なので範囲は広い
- 福井県の例示には、FP、心理カウンセラー(公認心理師を除く)、研修会講師、風水師、祈祷師、事業所得で申告する会社OBの顧問が並ぶ
- 研修講師やコーチは諸芸師匠業とされることもあるが、税率は同じ5%
- 全国の課税人員は23,094人、平均所得680.3万円。この所得で法人化すると年32.3万円の不利(40歳未満・独身)
- 損益分岐点は40歳未満1,266万円、60〜64歳1,362万円。課税されない業種なら2,198万円以上
相談・助言の仕事は、事業所得で申告した時点で課税の対象になりえます。自分の年齢と売上・経費で確かめてください。
よくある質問
占い師には個人事業税がかかりますか?
占い師を名指しで扱った公的資料は確認できませんでした。福井県の業種認定基準は、風水師と祈祷師をコンサルタント業の例に挙げています。占いを事業として行い、相談に応じて助言する形であれば、同じようにコンサルタント業とされる可能性があります。事務所のある都道府県に確認してください。
会社を退職して元の勤務先の顧問になりました。個人事業税はかかりますか?
福井県の基準は、顧問について「会社等のOBの方であっても事業(営業)所得として申告される方は該当します」と明記しています。顧問料を給与として受け取っているなら個人事業税の対象ではありませんが、事業所得として申告していればコンサルタント業として課税されうるということです。
公認心理師の個人開業はコンサルタント業ですか?
福井県の基準は、コンサルタント業の例の心理カウンセラーに「公認心理士を除く」と付けています。公認心理師がどの区分になるかは同じ資料に書かれていないため、事務所のある都道府県に確認が必要です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。