役員報酬

健康保険の標準報酬は月100万円の等級に人が集まる。上限139万円は23万人

結論

協会けんぽの令和6年度末の被保険者2,572万1,070人のうち、健康保険の標準報酬月額が上限の139万円(報酬月額135.5万円以上)の人は23万4,631人(0.91%)で、令和2年度末から22.8%増えました。月100万円の報酬が入る第43級(98万円)は9万872人で、上下の等級の平均の2.92倍と突出しています。切りのいい額で役員報酬を決める人が多いことの表れと読めます。

  • 厚生年金の上限は65万円、健康保険の上限は139万円。役員報酬月139万円を超えると、社会保険料(東京・40〜64歳・労使計)は年337.9万円で止まる
  • 標準報酬月額53万円以上の被保険者は5年で28.1%増え、被保険者全体の伸び(3.4%)を大きく上回る
  • 下限の5.8万円(報酬月額6.3万円未満)も5年で29.2%増えて20万2,430人

役員報酬を決めるとき、健康保険・厚生年金の保険料は「標準報酬月額」で決まります。協会けんぽの事業年報には、この標準報酬月額ごとの被保険者数が年度ごとに載っています。並べてみると、上限の139万円に23万人がいて、月100万円の等級には不自然なほど人が集まっていました。

上限の139万円に23万4,631人

使ったのは、全国健康保険協会の**事業年報(令和6年度)**の標準報酬月額別被保険者数です。健康保険の標準報酬月額は第1級の5.8万円から第50級の139万円まで50等級あります。

帯令和2年度末令和6年度末5年の伸び令和6年度末の割合
53万円以上1,521,947人1,950,245人28.1%7.58%
65万円以上912,108人1,125,126人23.4%4.37%
100万円以上330,744人402,161人21.6%1.56%
139万円(上限)191,109人234,631人22.8%0.91%
被保険者全体24,877,229人25,721,070人3.4%100%

※ 各年度末。任意継続被保険者を含む

上限の139万円は、報酬月額135.5万円以上の人がすべて入る等級です。令和6年度末で23万4,631人、被保険者の0.91%でした。5年で22.8%増え、被保険者全体の伸び(3.4%)の6倍以上のペースです。標準報酬月額53万円以上の帯も28.1%増えていて、報酬の高い層が厚くなっています。

厚生年金の上限は65万円(報酬月額63.5万円以上)なので、健康保険の上限はその2倍以上の高さにあります。厚生年金の等級別の分布は標準報酬月額の等級別分布、厚生年金の上限の引き上げは厚生年金の上限が75万円へで扱っています。

月100万円の等級だけ、人数が2.9倍

上位の等級を1つずつ並べると、ある等級だけが飛び抜けています。

標準報酬月額被保険者数(令和6年度末)割合
88万円59,921人0.23%
93万円34,524人0.13%
98万円90,872人0.35%
103万円27,728人0.11%
109万円34,359人0.13%
115万円19,164人0.07%
121万円38,673人0.15%
127万円19,815人0.08%
133万円27,791人0.11%
139万円(上限)234,631人0.91%

第43級の98万円は、報酬月額95.5万円以上100.5万円未満の人が入る等級で、月100万円の報酬がちょうどここに入ります。9万872人は、上の等級(103万円・2万7,728人)と下の等級(93万円・3万4,524人)の平均の2.92倍です。121万円(月120万円が入る)や88万円(月90万円が入る)も、両隣より多くなっています。

同じことを、ほかの切りのいい報酬額で確かめました。

月額の報酬その等級1つ下の等級その等級の人数1つ上の等級上下の平均に対する倍率
50万円第30級(50万円)47万円:493,857人511,988人53万円:264,547人1.35倍
60万円第33級(59万円)56万円:221,409人226,702人62万円:112,461人1.36倍
80万円第39級(79万円)75万円:76,481人97,474人83万円:59,467人1.43倍
100万円第43級(98万円)93万円:34,524人90,872人103万円:27,728人2.92倍

報酬が高くなるほど、切りのいい額への集まり方が強くなります。従業員の給与は毎月の残業などで細かく動きますが、役員報酬は毎月同額(定期同額給与)で、多くの社長が「月100万円」のような区切りのいい額に決めているためと読めます。統計は役員と従業員を区別していませんが、高い等級ほど役員の比重が高いと考えるのが自然です。

役員報酬を上げても、保険料は139万円で止まる

標準報酬月額には上限があるので、報酬をそれ以上上げても社会保険料は増えません。当サイトの計算エンジンで、役員報酬ごとの健康保険・厚生年金保険料(東京・40〜64歳・労使計)を出しました。

役員報酬(月)健康保険の標準報酬月額社会保険料(労使計・年)報酬に対する割合
月65万円65万円234.0万円30.0%
月100万円98万円280.3万円23.4%
月139万円139万円337.9万円20.3%
月150万円139万円337.9万円18.8%
月200万円139万円337.9万円14.1%
月300万円139万円337.9万円9.4%

※ 賞与なし。厚生年金は月65万円で上限に達している

月65万円で厚生年金が上限に達したあとは、健康保険料だけが増え、月139万円を超えると社会保険料は年337.9万円で止まります。月300万円の報酬なら、社会保険料は報酬の9.4%です。

報酬の高い社長ほど社会保険料の負担割合は下がりますが、その分は所得税・住民税の累進で取られます。手取りが最大になる役員報酬は、会社に残す利益と個人の税金のバランスで決まります。当サイトの判定ツールは月100万円までを探索するため、それを超える報酬が有利な帯の考え方は年商5,000万円のコンサルタントの試算事例で扱っています。報酬額の決め方の全体は役員報酬はいくらが最適かにまとめています。

下限の5.8万円も5年で29%増えた

分布の反対側でも変化があります。下限の第1級(5.8万円、報酬月額6.3万円未満)は、令和2年度末の15万6,704人から令和6年度末の20万2,430人へ29.2%増えました。短時間で働く人の社会保険加入が広がったことに加え、役員報酬を低く抑えて社会保険に入る一人社長も含まれていると考えられます。低い報酬を選んだ場合の手取りは役員報酬を月5万円に抑える法人化の試算事例で計算しています。

等級の境目の数字は判定ツールでも使っています。自分の売上と経費で、最適な報酬額と標準報酬月額を確かめてください。

まとめ

  • 健康保険の標準報酬月額の上限139万円(報酬月額135.5万円以上)には23万4,631人がいて、令和2年度末から22.8%増えた
  • 月100万円の報酬が入る第43級(98万円)は9万872人で、上下の等級の平均の2.92倍。切りのいい額で役員報酬を決める人が多い
  • 月50万・60万・80万円の等級も上下より1.35〜1.43倍多く、報酬が高いほど集まり方が強い
  • 社会保険料(東京・40〜64歳・労使計)は月139万円を超えると年337.9万円で止まる
  • 下限の5.8万円の被保険者も5年で29.2%増えた

よくある質問

健康保険の標準報酬月額の上限はいくらですか。

第50級の139万円で、報酬月額135.5万円以上の人はすべてこの等級です。それ以上報酬を上げても健康保険料は増えません。厚生年金の上限は65万円(報酬月額63.5万円以上)です。

月100万円の役員報酬は、標準報酬月額ではいくらになりますか。

健康保険は第43級の98万円(報酬月額95.5万円以上100.5万円未満)、厚生年金は上限の65万円です。

上限を超えた報酬にすると、手取りは増えますか。

社会保険料は増えませんが、所得税・住民税は報酬に応じて増えます。会社に残す利益とのバランスで手取りの合計が決まるので、上限を超える報酬が有利かは事業所得の大きさで変わります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。