社会保険
建設連合国保は法人化しても保険料が変わらない。抜けると分岐点は約500万円上がる
結論
建設連合国保の令和8年度保険料は年齢だけで決まり、40〜49歳の組合員は医療分・後期分19,800円+介護分3,700円+子ども・子育て支援分400円の月23,900円(年28.7万円)です。法人の代表者になっても変わらないので、健保適用除外制度で残れば単身の損益分岐点は1,247万円で判定ツールと同じです。協会けんぽに移ると1,826万円へ579万円上がります。
- 組合員の医療分+後期分は30〜39歳16,800円、40〜49歳19,800円、50〜64歳22,500円。働き方や所得による区分はない(組合費は別)
- 家族は19〜64歳で6,200円(0歳児は免除)。配偶者がいると、協会けんぽなら被扶養者で0円の部分に組合の保険料がかかるため、残る場合の分岐点は判定ツールの966万円から1,112万円に上がる
- 組合の傷病手当金は、3日以上の入院で1日5,000円・通算40日。入院しない休業は対象外
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
建設連合国民健康保険組合(建設連合国保)は、日本建設組合連合(建設連合)を母体に愛知県の認可で設立された建設国保で、北海道から沖縄県まで多くの地区に組合員がいます。保険料の決め方はシンプルで、組合員も家族も年齢だけで決まります。
この仕組みだと、法人化しても組合の保険料は1円も変わりません。この記事では、法人化後も組合に残る場合と協会けんぽに移る場合で、損益分岐点がどれだけ違うかを当サイトの計算エンジンで出しました。働き方で区分が分かれる建設国保(東京土建国保の一人親方の法人化)とは結論が変わります。
保険料は年齢だけで決まる
令和8年度の保険料月額表(一人当たり)は次のとおりです。
| 年齢 | 医療分 | 後期分 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 組合員 | 30〜39歳 | 13,400円 | 3,400円 | 16,800円 |
| 組合員 | 40〜49歳 | 16,400円 | 3,400円 | 19,800円 |
| 組合員 | 50〜64歳 | 19,100円 | 3,400円 | 22,500円 |
| 組合員 | 65歳以上 | 19,300円 | 3,400円 | 22,700円 |
| 家族 | 1〜18歳 | 1,800円 | 3,400円 | 5,200円 |
| 家族 | 19〜64歳 | 2,800円 | 3,400円 | 6,200円 |
| 家族 | 65歳以上 | 3,800円 | 3,400円 | 7,200円 |
介護納付金分は40〜64歳の1人につき3,700円、子ども・子育て支援納付金分は組合員と19歳以上の家族1人につき400円(令和8年4月分から)を加える。家族の0歳児は免除。組合費は含まない。24歳以下・25〜29歳の組合員は別の額。
40〜49歳の組合員なら、19,800円+介護分3,700円+子ども分400円で**月23,900円(年28.7万円)**です。月額表の区分は年齢だけで、法人の代表者・個人事業主・一人親方の区別がありません。法人化しても組合の保険料は変わらないということです。
法人化後も残る手続き
組合は、現に組合に加入している人は、手続きを行えば法人事業所になっても継続して加入できる(健保適用除外制度)と案内しています。対象のケースには「個人事業所が法人化した」「法人事業所を設立した」が含まれます。
- 事実発生日(法人設立日など)から14日以内に年金事務所への手続きが必要
- 手続きは通常、事業主が行う
- 厚生年金には加入する必要がある
- 法人化を検討している人は、まず所属の支部に相談する
承認の要件全般は国保組合は法人化後も続けられる?適用除外承認の4要件と14日の期限にまとめています。
残れば分岐点は判定ツールのまま、抜けると500万円以上上がる
計算エンジンで、法人化の実質差額を3通りに計算しました。
- 判定ツール:個人側は名古屋市の国保、法人側は協会けんぽ+厚生年金
- 建設連合国保に残る:個人・法人とも建設連合国保(法人側は厚生年金だけ加入)
- 協会けんぽに移る:個人側は建設連合国保、法人側は協会けんぽ+厚生年金
| 条件 | 判定ツール | 建設連合国保に残る | 協会けんぽに移る |
|---|---|---|---|
| 30〜39歳・単身 | 1,270万円 | 1,242万円 | 1,761万円 |
| 40〜49歳・単身 | 1,247万円 | 1,247万円 | 1,826万円 |
| 50〜64歳・単身 | 1,247万円 | 1,248万円 | 1,808万円 |
| 40〜49歳・配偶者あり | 966万円 | 1,112万円 | 1,456万円 |
損益分岐点(売上−経費、1万円刻み)。経費300万円・名古屋市の国保(令和8年度)・青色申告65万円(e-Tax)・インボイス登録済み・建設業(請負業=個人事業税5%)・合同会社・協会けんぽ愛知支部。配偶者は40〜59歳・収入なしで、組合では家族(19〜64歳)として加入。組合の保険料は組合員本人が払う前提で、組合費は含まない。法人化(最適な役員報酬)の手取りから個人の手取りと税理士報酬の増加分を引いた2年目以降の実質差額がプラスになる額。2026年(令和8年)分の税率・料率による概算。再計算は
node scripts/kensetsu-rengo-kokuho-houjinka.mjs。
単身なら、組合に残る限り分岐点は判定ツールとほぼ同じです。個人側で安い組合の保険料が、法人側でも同じ額で続くからです。
協会けんぽに移ると、分岐点は約490万〜580万円上がります。個人のままなら年28.7万円(40〜49歳)で済む健康保険が、法人では役員報酬に比例する保険料になるためです。40歳未満で比べると、建設連合国保(年20.6万円)は中建国保の第2種(年33.4万円)や東京土建国保の第2種(年34.7万円)より安く、そのぶん抜けたときの不利も大きく出ます(中建国保の一人親方の法人化)。
売上−経費ごとの実質差額(40〜49歳・単身)
| 売上−経費 | 名古屋市の国保 | 建設連合国保 | 判定ツール | 建設連合国保に残る | 協会けんぽに移る |
|---|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 63.4万円 | 28.7万円 | −43.2万円 | −55.6万円 | −70.9万円 |
| 700万円 | 91.4万円 | 28.7万円 | −22.5万円 | −39.1万円 | −66.1万円 |
| 900万円 | 108.3万円 | 28.7万円 | −13.0万円 | −37.8万円 | −67.5万円 |
| 1,200万円 | 113.0万円 | 28.7万円 | −4.7万円 | −6.9万円 | −52.2万円 |
| 1,500万円 | 113.0万円 | 28.7万円 | +25.7万円 | +32.8万円 | −21.7万円 |
| 2,000万円 | 113.0万円 | 28.7万円 | +65.1万円 | +88.8万円 | +19.3万円 |
前提は上の表と同じ。実質差額はプラスが法人化有利。
売上−経費500万〜900万円では、組合に残っても判定ツールより法人化の不利が大きく出ます。この帯では名古屋市の国保が組合より35万〜80万円高く、個人のままでいる利点が大きいからです。分岐点を超える1,500万円以上では、逆に組合に残るほうがツールより有利に出ます。
配偶者がいると、家族の保険料のぶん分岐点が上がる
協会けんぽでは、収入のない配偶者は被扶養者になり、保険料はかかりません。判定ツールで配偶者がいると分岐点が大きく下がる(966万円)のは、配偶者の国民年金と国保の負担が法人化で消えるためです。
社長が厚生年金に入ると配偶者は第3号被保険者になり、配偶者の年金の負担が消える点は、組合に残っても同じです。違うのは健康保険で、建設連合国保に残る場合、配偶者は家族として組合に入り続け、40〜64歳なら6,200円+介護分3,700円+子ども分400円の**月10,300円(年12.4万円)**がかかります。
| 売上−経費(40〜49歳・配偶者あり) | 判定ツール | 建設連合国保に残る | 協会けんぽに移る |
|---|---|---|---|
| 900万円 | −1.3万円 | −27.6万円 | −49.3万円 |
| 1,200万円 | +14.5万円 | +15.0万円 | −26.0万円 |
| 1,500万円 | +45.0万円 | +49.8万円 | +4.5万円 |
配偶者がいる場合、残る場合の分岐点は判定ツールの966万円から1,112万円へ146万円上がります。単身の場合と違って、判定ツールの結果をそのまま使うと、法人化の有利さを大きめに見積もることになります。
傷病手当金は入院だけ
建設連合国保にも組合独自の傷病手当金があります。ただし条件は、3日以上入院して仕事を休み賃金が出なかったときで、入院1日5,000円・通算40日です。自宅療養の休業は対象になりません。
協会けんぽの傷病手当金は、入院かどうかに関わらず、連続3日の待期の後、標準報酬日額の3分の2を支給開始から通算1年6か月受けられます。法人化して組合に残る場合は、この保障の差を保険料の安さと引き換えにしていることになります。
判定ツールの結果の読み方
- 単身で組合に残る:ツールの結果をほぼそのまま使える
- 配偶者がいて組合に残る:分岐点がツールより約150万円上にあると考える
- 協会けんぽに移る:分岐点がツールより500万円前後上にあると考える
建設業許可を持っているなら、法人化で社会保険の加入が許可の要件にかかわります(建設業許可の社会保険の要件と法人成り)。労災の特別加入や許可の承継を含めた全体像は一人親方の法人化は売上いくらから?、区市町村の国保の水準は国民健康保険料の自治体別比較にあります。
一般論の分岐点ではなく、自分の売上と経費、家族の状況で判定ツールを動かして確かめてください。
まとめ
- 建設連合国保の保険料は組合員・家族とも年齢だけで決まり、40〜49歳の組合員は月23,900円。法人の代表者になっても変わらない
- 法人化後も、法人設立日から14日以内の手続きで健保適用除外制度を使えば組合に残れる(厚生年金には加入)
- 単身で残れば分岐点は判定ツールとほぼ同じ(40〜49歳で1,247万円)。協会けんぽに移ると1,826万円まで上がる
- 配偶者がいると、組合では家族の保険料(40〜64歳で月10,300円)がかかるため、残る場合の分岐点は966万円から1,112万円に上がる
- 組合の傷病手当金は入院のみ1日5,000円・通算40日で、協会けんぽの保障とは大きく違う
よくある質問
建設連合国保にはどこに住んでいる人が入れますか?
日本建設組合連合(建設連合)の正会員である組合の組合員で、組合の地区(北海道から沖縄県までの多くの都道府県)に住所があり、土木・建築・大工・左官などの業種に従事している人です。地区と業種は組合の「加入できる方」のページに一覧があります。
法人化の前に何をすればよいですか?
組合は、法人化を検討している人はまず所属の支部に相談するよう案内しています。健保適用除外の手続きは、法人設立日などの事実発生日から14日以内に年金事務所へ行う必要があり、通常は事業主が行います。
保険料に組合費は含まれていますか?
含まれていません。組合は、保険料月額表の金額に組合費は含まれていないと明記しています。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。