税金の基礎
法人の6割は均等割だけを払っている。総務省の課税状況で数えた
結論
総務省の令和6年度 市町村税課税状況等の調では、市町村民税の法人税割の納税義務者418万1,623に対して、納税者は166万4,091(39.8%)でした。残りの251万7,532(60.2%)は法人税割の税額が生じておらず、法人住民税としては均等割だけを払っていることになります。法人事業税でも、所得割で課税される法人の63.3%が欠損法人です。
- 市町村民税の法人均等割の納税義務者440万9,546のうち、最も低い区分(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下など)が74.8%
- 1つの道府県だけに事務所がある法人273万1,913のうち、資本金等1,000万円以下は88.4%。道府県民税の均等割の調定額は741.7億円で、超過課税分は4.0%
- 数は市町村ごと・道府県ごとの課税状況の合計で、複数の自治体に事務所がある法人は重複して数えられる
このテーマの全体像 法人住民税の均等割(赤字でも年7万円)
法人住民税は、利益に連動する法人税割と、利益に関係なくかかる均等割の2つでできています。では、実際に法人税割まで払っている会社はどれくらいあるのでしょうか。総務省の課税状況調べで数えると、法人税割の税額が生じているのは4割で、6割の法人は均等割だけを払っていました。
法人税割の納税義務者418万、納税者は166万
使ったのは、総務省の令和6年度 市町村税課税状況等の調の第1表です。市町村民税の法人均等割と法人税割について、納税義務者の数が全国の合計で載っています。
| 項目 | 数 | 割合 |
|---|---|---|
| 法人税割の納税義務者数 | 4,181,623 | 100% |
| うち納税者数 | 1,664,091 | 39.8% |
| 差(法人税割の税額が生じていない) | 2,517,532 | 60.2% |
※ 令和6年7月1日時点の全市町村の課税状況。市町村ごとの数の合計なので、複数の市町村に事務所がある法人は重複して数えられる
表の「納税者数」は、納税義務者のうち実際に税額が生じた者の数と読めます。総務省の表の注にこの言葉の定義はありませんが、別の統計と突き合わせると割合が合います。同じ年度の道府県税の課税状況調べで、法人事業税(所得割だけで課税される法人)の欠損法人は280万9,208のうち177万7,358、**63.3%**でした。法人税割の税額がない割合(60.2%)とほぼ同じ水準です。
法人税割は法人税額に税率を掛けて計算するので、法人税が0円なら法人税割も0円です(法人税15%は実質17.6%)。法人税が0円になるのは、赤字のときや、過去の欠損金を繰り越して所得が消えるときです。その場合も均等割は払います。6割の法人にとって、法人住民税とは均等割のことです。
均等割は、最も低い区分が4分の3
市町村民税の法人均等割を、税率の区分別に並べました。区分は資本金等の額と従業者数で決まります。
| 区分 | 納税義務者数 | 割合 |
|---|---|---|
| (A) 資本金等50億円超・従業者50人超 | 27,136 | 0.6% |
| (B) 資本金等10億円超50億円以下・従業者50人超 | 12,755 | 0.3% |
| (C) 資本金等10億円超・従業者50人以下 | 181,596 | 4.1% |
| (D) 資本金等1億円超10億円以下・従業者50人超 | 27,360 | 0.6% |
| (E) 資本金等1億円超10億円以下・従業者50人以下 | 173,760 | 3.9% |
| (F) 資本金等1,000万円超1億円以下・従業者50人超 | 53,904 | 1.2% |
| (G) 資本金等1,000万円超1億円以下・従業者50人以下 | 609,479 | 13.8% |
| (H) 資本金等1,000万円以下・従業者50人超 | 26,833 | 0.6% |
| (I) 上記以外(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下など) | 3,296,723 | 74.8% |
| 計 | 4,409,546 | 100% |
※ 資本金等の大きい法人は支店などで多くの市町村に事務所を持つため、その分だけ重複して数えられている
**最も低い区分(I)が74.8%**を占めます。一人会社の多くはここに入り、標準税率では市町村民税5万円・道府県民税2万円の合計年7万円です(東京23区は都民税として一括で7万円)。資本金等1,000万円超1億円以下・従業者50人以下の区分(G)になると年18万円です。
複数の市町村に事務所を持つ大きな法人は市町村ごとに数えられるので、実際の法人の数で見ると小さな法人の比重はさらに高くなります。1つの道府県だけに事務所がある法人(県内法人)に絞った道府県民税の数字では、均等割の納税義務者273万1,913のうち、**資本金等1,000万円以下が241万4,134で88.4%**でした。
道府県民税の均等割は741.7億円、超過課税分は4.0%
県内法人が納めた道府県民税の均等割の調定額は741.7億円です。そのうち、標準税率を超えて課税している超過課税の分は29.4億円で、4.0%にとどまります。森林保全などの目的で均等割に上乗せしている県(愛知・福岡は5%、兵庫は10%など)はありますが、全体では小さな割合です。主要都市の均等割の実額は法人住民税の均等割は自治体で違うで比べています。
法人化を考える人にとっての意味
この数字が示すのは、法人の多くは毎年「利益に関係ない固定費」として均等割を払い続けているということです。黒字の年も赤字の年も、資本金等1,000万円以下の会社なら年7万円がかかります。均等割の仕組みと、赤字でもかかる理由は法人住民税の均等割は赤字でも年7万円で整理しています。
法人化の判断では、この7万円の重さを所得で考える必要があります。損益分岐点の近くでは法人化の有利さが少しずつしか増えないため、年7万円の均等割は、単身の場合で損益分岐点を事業所得70万円押し上げています(均等割7万円は法人化の損益分岐を70万円押し上げる)。
また、法人の6割が赤字という数字には読み方の注意があります。資本金の大きさや業種で割合は大きく違い、小さな会社ほど赤字の割合が高く出ます。その内訳は「法人の6割が赤字」は本当かで数え直しています。一人会社では、役員報酬を多めに取って法人の利益をゼロ近くに抑えることも多く、統計上の「赤字」がそのまま経営の苦しさを意味するわけではありません。
自分の場合に、均等割を含めた法人の固定費を差し引いても法人化が有利かは、判定ツールで確かめてください。
まとめ
- 市町村民税の法人税割の納税義務者418万1,623のうち、税額が生じた納税者は166万4,091(39.8%)。6割は法人住民税として均等割だけを払っている
- この割合は、法人事業税で所得のない欠損法人が63.3%という統計とほぼ一致する
- 市町村民税の法人均等割では、最も低い区分(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下など)が74.8%
- 県内法人の道府県民税では、均等割の納税義務者の88.4%が資本金等1,000万円以下。調定額741.7億円のうち超過課税分は4.0%
- 年7万円の均等割は利益に関係ない固定費で、単身の法人化の損益分岐点を70万円押し上げている
よくある質問
赤字の会社でも法人住民税を払うのですか。
法人住民税のうち均等割は、所得に関係なく事務所や事業所がある法人にかかります。赤字で法人税が0円なら法人税割は0円ですが、均等割は払います。資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人なら、東京23区で年7万円です。
統計の「納税者数」とは何ですか。
法人税割の納税義務者のうち、税額が生じた者の数として読んでいます。総務省の表の注に定義の記載はありませんが、法人事業税で所得がない欠損法人が63.3%という別の統計と、ほぼ同じ割合になります。
均等割だけを払う年が続くのは問題ですか。
税務上の問題ではありませんが、法人化の判断では、均等割と税理士報酬が毎年の固定費として乗ることを前提に比べる必要があります。年7万円の均等割は、単身の場合で法人化の損益分岐点を事業所得70万円押し上げています。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。