設立の手続き

高校生をアルバイトで雇うなら?一人会社が守る18歳未満の4つの制限

結論

18歳未満の人を雇うときは、①年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備える、②午後10時から午前5時までは働かせない、③36協定があっても残業・法定休日の労働をさせない(1日8時間・週40時間が上限)、④危険・有害な業務に就かせない、の4点が労働基準法で決まっています。中学校を卒業する年度の3月31日までは、原則として雇えません。

  • 変形労働時間制やフレックスタイム制も18歳未満には使えない。ただし週40時間の範囲で、1日を4時間以内にした日があれば他の日を10時間まで延ばせる
  • 社長の子どもを会社で雇う場合も、会社と子の間の雇用なら同じ制限がかかる。親権者が子に代わって労働契約を結んだり、賃金を受け取ったりはできない
  • 高校生の子の給与が年136万円(令和8年分・給与だけの場合)を超えると、親は所得税の扶養控除38万円を受けられない

忙しい時期だけ、近所の高校生にアルバイトで手伝ってもらう。一人会社が初めて人を雇う形として、よくあるパターンです。ただし18歳未満の人には、大人の従業員にはない制限が労働基準法でかかります。

大人なら36協定を結べば頼める残業や休日出勤が、18歳未満には協定があってもできません。採用の前にここを知っておかないと、シフトが組めなくなります。

中学卒業までは原則として雇えない

労働基準法56条は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わるまで、つまり中学校を卒業する年度の末日までは使用してはならないとしています。

例外は、健康・福祉に有害でない軽易な仕事で、労働基準監督署長の許可を受けた場合です(同条2項)。この場合でも、学校長の証明書と親権者の同意書を事業場に備えます(57条2項)。一般的な事務作業や販売の手伝いでこの許可を取るのは現実的ではないので、実務上は高校生からと考えてよいでしょう。

18歳未満にかかる4つの制限

高校生(満15歳になった後の3月31日を過ぎ、18歳未満)を雇う場合の制限です。

制限内容条文
年齢証明書年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付ける57条1項
深夜業の禁止午後10時〜午前5時は働かせない(交替制の16歳以上の男性などを除く)61条
残業・休日労働の禁止36協定があっても時間外・法定休日の労働をさせない60条1項
危険・有害業務の禁止運転中の機械の掃除、重量物の取扱い、有害物を扱う業務など62条・63条

このほか、18歳未満の人を解雇して、その人が14日以内に帰郷する場合は、会社が旅費を負担します(64条)。

労働時間の上限は1日8時間・週40時間ちょうど

60条1項は、36協定(36条)や変形労働時間制(32条の2〜32条の5)、フレックスタイム制の規定を18歳未満には適用しないとしています。つまり、法定労働時間の1日8時間・週40時間を1分も超えられません。

例外が1つだけあります。週40時間の範囲で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内にした場合、ほかの日を10時間まで延ばせます(60条3項1号)。平日の放課後は短く、土曜だけ長く働いてもらう、という組み方はこの範囲で可能です。

組み方(1週間)可否
平日5日×4時間(17〜21時)+土曜8時間=28時間可
平日5日×5時間(17〜22時)+土曜8時間=33時間可(22時ちょうどに終業)
平日4日×3時間+土曜10時間=22時間可(1日4時間以内の日がある週なので、土曜を10時間にできる)
平日5日×5時間+土曜10時間=35時間不可(4時間以内の日がない週は、1日8時間が上限)
夏休みに平日5日×8時間+土曜4時間=44時間不可(週40時間を超える)

※ 当サイトが条文に当てはめて整理した例。休憩は6時間を超える日に45分以上が必要(34条。境目の考え方は休憩時間の記事)

社長の子どもを雇う場合も同じ

一人会社の社長が、自分の高校生の子に会社の仕事を手伝わせて給与を払う場合も、法人と子の間の雇用契約なら同じ制限がかかります。労働基準法が適用されないのは「同居の親族のみを使用する事業」で(116条2項)、法人は社長とは別の人格です。法人に雇われた同居の子の扱いは実態で判断されるため、ほかの従業員と同じ管理をしておくのが無難です。

あわせて、未成年者の労働契約を親権者が代わりに結ぶことはできず(58条1項)、賃金を親権者が代わりに受け取ることもできません(59条)。子の給与を親の口座に振り込む運用は、この規定に反します。

子に払う給与を経費にできるかという税務の論点は、子どもに給与を払う場合の個人と法人の違いで整理しています。

給与が年136万円を超えると親の扶養から外れる

高校生のアルバイト代には、親の税金への影響もあります。16歳以上19歳未満の子は一般の扶養親族で、親は所得税で38万円の扶養控除を受けられます。

その要件は、子の合計所得金額が62万円以下であることです(令和8年分。国税庁 No.1180)。給与だけなら、給与所得控除の最低保障額74万円を足した年136万円が目安になります。

子の給与(年)子の給与所得親の所得税の扶養控除
100万円26万円38万円
136万円62万円38万円
137万円63万円受けられない

※ 令和8年分の所得税。給与所得控除の最低保障額74万円(令和8年・9年分の特例を含む)で計算。住民税の扶養の要件は別に確認が必要

週20時間・時給1,300円で1年間働くと給与は135万2,000円で、この線のすぐ手前です。時給が上がったり、夏休みにまとめて働いたりすると超えやすいので、年間の合計を確認してください。

人件費の見積もりにはシフトの制約を入れる

18歳未満は夜10時以降も残業も休日出勤も頼めないので、繁忙期の穴を埋める戦力としては使える時間が限られます。採用の前に、頼みたい時間帯が制限の内側にあるかを確かめておく必要があります。

雇い入れ全体の費用は一人社長が初めて従業員を雇う費用で、労働条件を書面で渡す義務は労働条件通知書に書く項目で扱っています。人件費が経費に乗ると法人化の損益分岐も動くので、当サイトの判定ツールで自分の数字を確かめてください。

まとめ

  • 中学校を卒業する年度の3月31日までは、労働基準監督署長の許可がない限り雇えない
  • 18歳未満には、年齢証明書の備え付け、午後10時〜午前5時の勤務禁止、残業・法定休日労働の禁止、危険有害業務の禁止がかかる
  • 労働時間は1日8時間・週40時間が上限。1日を4時間以内にした週に限り、ほかの日を10時間まで延ばせる
  • 社長の子を会社で雇う場合も同じ制限がかかり、親権者が子の賃金を代わりに受け取ることはできない
  • 子の給与が年136万円(令和8年分・給与だけ)を超えると、親は所得税の扶養控除38万円を受けられない

よくある質問

高校生に夜10時まで働いてもらい、片付けで10時を少し過ぎてもよいですか?

いいえ。午後10時から午前5時までの間は、時間の長短に関係なく18歳未満を働かせることはできません。交替制で働く16歳以上の男性などの例外を除き、片付けを含めて10時までに終える必要があります。

18歳の誕生日を迎えた高校3年生にも、この制限はかかりますか?

労働基準法の年少者の規定は「満18歳に満たない者」が対象なので、18歳になった日からはかかりません。高校在学中かどうかではなく、年齢で判断します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。