設立の手続き

休眠会社は12年でみなし解散。合同会社は対象外

結論

会社法472条のみなし解散は、最後の登記から12年を経過した株式会社が対象です。合同会社は同条の定義に含まれないため対象になりません。直近では令和7年10月10日に官報公告が行われ、届出も登記もしなかった会社は令和7年12月11日付けで職権により解散の登記がされました。

  • 12年という年数は取締役の任期の上限10年(会社法332条2項)に対応する。10年を超えて登記がないのは重任登記を怠った状態にあたる
  • 登記を怠ると、代表取締役等が100万円以下の過料に処されることがある(会社法976条1号)
  • みなし解散後に会社を継続できるのは3年以内(会社法473条)。会社継続の登記の登録免許税は1件3万円

会社をたたまずに放置していると、ある日、登記簿に「解散」と記録されることがあります。自分では何もしていないのに、登記官の職権で解散の登記がされる。これが会社法472条のみなし解散です。

ただし、この制度には対象が限られています。 合同会社は入っていません。

条文は「株式会社であって」と書いている

会社法472条1項の定義部分です。

休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。……)

対象は株式会社だけです。合同会社・合資会社・合名会社は、この条文の休眠会社に当たりません。一般社団法人・一般財団法人には別の法律で5年という期間が定められており、法務省も株式会社とは分けて案内しています。

手続きの流れはこうです。法務大臣が官報で公告し、2か月以内に本店所在地を管轄する登記所へ「まだ事業を廃止していない」旨の届出をするよう求めます。届出がないと、その2か月の期間が満了した時に解散したものとみなされます。 ただし期間内にその会社に関する登記がされたときは解散になりません(同項ただし書)。

登記所は、公告があったときは休眠会社に通知を発しなければならないとされています(同条2項)。通知は本店所在地宛てです。移転して登記を直していない会社には、この通知が届きません。

直近の実施は令和7年

法務省のページによれば、直近の整理作業は次の日程でした。

手続き日付
官報公告・通知書の発送令和7年10月10日
届出または登記申請の期限令和7年12月10日
みなし解散の登記(登記官の職権)令和7年12月11日付け

令和8年(2026年)の整理作業については、2026年9月22日時点で法務省のページに掲載がありません。例年10月に公告されているため、株式会社で長く登記をしていない場合は、この時期に本店宛ての通知を見落とさないようにする必要があります。

なぜ12年なのか

任期と結びついています。

会社法332条1項は、取締役の任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定めています。そして同条2項は、公開会社でない株式会社では、定款によってこれを選任後10年まで伸長できるとしています。

一人社長の会社は多くが非公開会社で、定款で任期を10年にしています。つまり最長でも10年に一度は、同じ人を選び直す重任の登記が発生します。

10年に2年の余裕を足した12年。 12年間まったく登記がない株式会社は、本店移転も役員変更もしていないというだけでなく、任期満了に伴う重任の登記を確実に怠っている状態です。だから整理の対象になります。

役員変更登記そのものは役員変更登記は同じ社長でも必要で扱っています。合同会社の業務執行社員には任期の定めがないため、変更がなければ登記事項が動きません。合同会社が対象外なのは、放置してよいからではなく、12年動かないことが異常を意味しないからです。

登記を怠っていること自体に過料がある

会社法976条は、取締役・清算人などが次のいずれかに該当する場合、100万円以下の過料に処すると定めています。その1号が「この法律の規定による登記をすることを怠ったとき」です。

みなし解散になったかどうかとは別に、登記懈怠そのものが過料の対象です。実務では、登記を申請した時点で懈怠の期間が登記官に分かるため、そこから裁判所に通知が回る形になります。

過料は会社ではなく、代表取締役など個人に科されます。 会社の経費にもなりません。

解散とみなされた後、戻せるのは3年以内

会社法473条は、みなし解散の場合を含めて、株式会社は清算が結了するまで株主総会の決議によって継続することができるとしています。ただし括弧書きで、みなし解散の場合は解散したものとみなされた後3年以内に限ると定めています。

3年を過ぎると、もう元には戻せません。清算を結了させて会社を消すか、新しく会社を設立し直すかになります。取引先との契約、許認可、銀行口座は、法人格が解散状態のままでは実務上使えなくなっていきます。

継続する場合にかかる登記の登録免許税は、登録免許税法の別表第一に定められています。

登記登録免許税
会社の継続の登記1件につき3万円
清算人または代表清算人の登記1件につき9,000円
清算の結了の登記1件につき2,000円
役員の変更(重任)の登記1件につき1万円(資本金1億円以下)

みなし解散の登記そのものは登記官の職権によるものなので、会社が登録免許税を負担することはありません。負担が生じるのは、そこから戻すときです。必要になる登記の組み合わせは会社の状態によって変わるため、管轄の登記所に確認してください。

12年間、10年に一度の重任登記を1万円で済ませていれば済んだところが、戻すだけで数万円と手間になります。 加えて過料のリスクが残ります。

休眠のまま置くなら、止まる費用と止まらない費用を分ける

事業を止めても、法人格が残っているかぎり続くものがあります。法人住民税の均等割はその代表です。休眠届の出し方と、均等割が止まる自治体・止まらない自治体の違いは休眠会社の均等割で扱っています。会社を完全に閉じる場合の費用は法人の解散・清算にかかる費用が主題です。

会社を止めた後の扱い登記の義務みなし解散の対象
株式会社のまま休眠任期満了ごとに重任登記が必要12年で対象
合同会社のまま休眠登記事項に変更がなければ発生しない対象外
解散・清算結了まで進める清算人・清算結了の登記が必要法人格が消えるので対象外

法人化のときに合同会社と株式会社のどちらを選ぶかは、設立費用だけの問題ではありません。事業をたたむときや止めるときの手間にも差が出ます。 形態ごとの費用差は合同会社と株式会社の費用で扱っています。

そもそも法人化すべきかどうかは、続けられる固定費の水準で決まります。自分の売上と経費で差額がいくらになるかを確かめてください。

まとめ

  • みなし解散の対象は、最後の登記から12年を経過した株式会社(会社法472条1項)。合同会社は対象外
  • 12年は取締役の任期の上限10年(会社法332条2項)に対応する。12年動きがなければ重任登記の懈怠が確定している
  • 直近の実施は令和7年10月10日公告・12月10日届出期限・12月11日付けで職権の解散登記
  • 登記を怠ること自体に100万円以下の過料がある(会社法976条1号)。科されるのは会社ではなく代表者個人
  • みなし解散後に継続できるのは3年以内(会社法473条)。会社継続の登記の登録免許税は3万円

よくある質問

会社を休眠させている間、登記は何もしなくてよいのですか。

事業を止めていても、取締役の任期は進みます。任期が満了すれば同じ人を選び直す重任の登記が必要で、これを怠ると登記懈怠になります。休眠中でも登記だけは続ける必要があります。

みなし解散の登記がされたことは、どうすれば分かりますか。

登記事項証明書に解散の旨が記録されます。公告に先立って本店所在地宛てに通知書が発送されますが、本店を移転していて通知が届かない場合もあります。長く登記をしていない会社は、登記事項証明書を取得して状態を確認するのが確実です。

合同会社を12年放置しても問題ありませんか。

みなし解散の対象にはなりません。合同会社の業務執行社員には任期がないため、変更がなければ登記事項も動かないからです。ただし本店移転や社員の変更など登記事項に変更があれば登記義務は生じますし、法人住民税の均等割は登記が残っているかぎり課税対象として扱われます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。