社会保険
神建連国保は所得で31等級。法人化後に残ると保険料が年55万円下がる
結論
神建連国保の保険料は、加入者全員の前年分の総所得の合計で決まる3級(月16,200円)〜31級(月87,000円)の世帯単位の定額で、所得に連動します。単身・売上−経費1,200万円の一人親方は個人のままだと31級ですが、法人化して適用除外承認で残り、役員報酬を月54万円にすると、総所得は給与所得の474.4万円になって18級に下がり、保険料は年55万円下がります。このため法人化の損益分岐点は判定ツールより下がり、40歳未満で1,161万円(判定ツール1,272万円)です。
- 等級表の額は医療分・後期高齢者支援金分・子ども・子育て支援金分・神建連共済会費(月1,300円)の合計。40〜64歳は介護保険料1人月3,800円を加える。令和8年10月分〜令和9年9月分
- 個人のままだと、横浜市の国保より年5万〜22万円安い程度。総所得1,010万円以上の31級(年102.8万円・共済会費を除く)は、横浜市の国保の上限(40歳未満で96.0万円)より高い
- 等級は前年分の総所得で決まるため、法人化した年の翌年10月分までは、個人事業のころの所得で決まった等級のまま
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
神奈川県建設連合国民健康保険組合(神建連国保)は、神奈川県の建設業の労働組合を母体にした建設国保です。ほかの建設国保の多くが職種や年齢で決まる定額なのに対し、神建連国保は加入者全員の前年の総所得で31の等級に分ける仕組みです。
所得で決まるので、個人のままだと区市町村の国保とあまり変わりません。その代わり、法人化して組合に残ると、等級を決める所得が「事業所得」から「役員報酬の給与所得」に入れ替わり、保険料が大きく下がります。定額の組合とは逆向きの結果になるので、当サイトの計算エンジンで確かめました。
等級は加入者全員の前年の総所得で決まる
令和8年10月分から令和9年9月分までの等級表は次のとおりです(抜粋)。
| 等級 | 総所得の合計 | 月額 |
|---|---|---|
| 1級 | 23歳未満 | 10,400円 |
| 2級 | 30歳未満 | 13,800円 |
| 3級 | 200万円未満 | 16,200円 |
| 11級 | 310万円未満 | 26,100円 |
| 16級 | 440万円未満 | 36,400円 |
| 18級 | 500万円未満 | 41,200円 |
| 23級 | 650万円未満 | 53,700円 |
| 26級 | 780万円未満 | 63,600円 |
| 28級 | 890万円未満 | 72,200円 |
| 29級 | 950万円未満 | 77,100円 |
| 31級 | 1,010万円以上 | 87,000円 |
医療分・後期高齢者支援金分・子ども・子育て支援金分・神建連共済会費(月1,300円)の合計。40〜64歳は介護保険料が1人月3,800円加わる。年齢は10月1日現在。
組合は、毎年8〜9月に、組合員の年齢と加入者全員の前年分の総所得からその年10月から翌年9月までの保険料を決めます。組合のシミュレーションも「加入する全員の総所得金額の合計」で等級を選ぶ作りで、家族1人ごとの保険料はありません(介護保険料は人数分)。
総所得は、事業所得・不動産所得・給与所得・雑所得などの合計(損益通算後)に、長期譲渡所得と一時所得の2分の1を足した額です。
個人のままだと、横浜市の国保より年5万〜22万円安い程度
所得で決まる点は区市町村の国保と同じなので、差はそれほど開きません。40〜64歳・単身で、横浜市の国保と比べました。
| 売上−経費 | 事業所得 | 横浜市の国保 | 神建連国保(等級・年額) | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 235.0万円 | 34.4万円 | 7級・27.8万円 | −6.5万円 |
| 500万円 | 435.0万円 | 62.6万円 | 16級・46.7万円 | −15.9万円 |
| 700万円 | 635.0万円 | 89.4万円 | 23級・67.4万円 | −22.0万円 |
| 900万円 | 835.0万円 | 109.0万円 | 28級・89.6万円 | −19.3万円 |
| 1,100万円 | 1,035.0万円 | 113.0万円 | 31級・107.4万円 | −5.6万円 |
| 1,500万円 | 1,435.0万円 | 113.0万円 | 31級・107.4万円 | −5.6万円 |
神建連国保の年額は共済会費を除いた保険料(介護保険料を含む)。事業所得は青色申告特別控除65万円の後。
差が最も大きいのは売上−経費700万円前後の年22.0万円で、所得が上がると縮みます。総所得1,010万円以上の31級は、40歳未満で年102.8万円(共済会費を除く)と、横浜市の国保の上限(96.0万円)を上回ります。神建連国保は「定額だから高所得ほど得」という建設国保のイメージとは違います。
法人化して残ると、等級を決める所得が給与所得に変わる
神建連国保は、建設国保に加入中の人が法人事業所を設立するなどで社会保険の加入対象になったときは、年金事務所に申請することで建設国保を続けられると案内しています。外れるのは健康保険だけで、厚生年金には加入します。申請の要件と14日の期限は国保組合は法人化後も続けられる?適用除外承認の4要件と14日の期限で扱っています。
残った場合、社長本人の総所得は役員報酬の給与所得になります。法人に残した利益は社長の所得ではないので、等級には入りません。売上−経費1,200万円・40歳未満で、手取りが最大になる役員報酬(月54万円)を選ぶと、次のように変わります。
| 個人のまま | 法人化して神建連国保に残る | |
|---|---|---|
| 総所得 | 事業所得 1,135.0万円 | 給与所得 474.4万円(報酬年648万円) |
| 等級 | 31級 | 18級 |
| 保険料(年・共済会費を除く) | 102.8万円 | 47.9万円 |
保険料は年54.9万円下がります。給与所得控除で所得が小さく数えられることと、法人に残した利益が等級に入らないことの2つが効いています。
下がるのは、法人化の翌年10月分から
等級は前年分の総所得で決まります。法人化した年の10月から翌年9月までは、その前の年(個人事業のころ)の事業所得で等級が決まるので、保険料は下がりません。役員報酬だけの年の所得で判定されるのは、法人化の翌年10月分からです。この記事の表は、それが毎年続いた状態(2年目以降)で計算しています。
損益分岐点は判定ツールより下がる
計算エンジンで、法人化の実質差額を3通りに計算しました。
- 判定ツール:個人側は横浜市の国保、法人側は協会けんぽ+厚生年金
- 神建連国保に残る:個人側は神建連国保、法人側は適用除外承認を受けて神建連国保+厚生年金(等級は役員報酬の給与所得で判定)
- 協会けんぽに移る:個人側は神建連国保、法人側は協会けんぽ+厚生年金
40〜64歳・単身
| 売上−経費 | 横浜市の国保 | 神建連国保(個人) | 判定ツール | 神建連国保に残る | 協会けんぽに移る |
|---|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 62.6万円 | 46.7万円 | −44.0万円 | −47.7万円 | −56.7万円 |
| 700万円 | 89.4万円 | 67.4万円 | −24.1万円 | −29.1万円 | −39.4万円 |
| 900万円 | 109.0万円 | 89.6万円 | −12.8万円 | −15.5万円 | −26.2万円 |
| 1,200万円 | 113.0万円 | 107.4万円 | −5.0万円 | +2.9万円 | −8.1万円 |
| 1,500万円 | 113.0万円 | 107.4万円 | +25.5万円 | +33.4万円 | +22.3万円 |
| 2,000万円 | 113.0万円 | 107.4万円 | +64.9万円 | +82.8万円 | +61.8万円 |
経費300万円・横浜市の国保(令和8年度)・単身・青色申告65万円(e-Tax)・インボイス登録済み・建設業(請負業=個人事業税5%)・合同会社・協会けんぽ神奈川支部。神建連国保は共済会費を除いた保険料で、組合員本人が払う前提。等級は同じ年の所得が毎年続くものとして判定。実質差額は法人化(最適な役員報酬)の手取りから個人の手取りを引き、税理士報酬の増加分を差し引いた2年目以降の額で、プラスは法人化が有利。2026年(令和8年)分の税率・料率による概算。再計算は
node scripts/shinkenren-kokuho-houjinka.mjs。
損益分岐点を1万円刻みで探し直すと、次のとおりです。
| 条件 | 判定ツール | 神建連国保に残る | 協会けんぽに移る |
|---|---|---|---|
| 30〜39歳・単身 | 1,272万円 | 1,161万円 | 1,234万円 |
| 40〜64歳・単身 | 1,249万円 | 1,172万円 | 1,280万円 |
神建連国保に残る場合、分岐点は判定ツールより77万〜111万円下がります。定額の建設国保に残る場合は分岐点が上がる(中建国保で+17万円、東京土建国保で+52万円)のと逆です(中建国保の一人親方の法人化、東京土建国保の一人親方の法人化)。
協会けんぽに移る場合でも、分岐点は判定ツールと40万円以内の差にとどまります。個人のままの神建連国保が横浜市の国保と大きく変わらないためです。
役員報酬は等級の境目も効く
残る場合の最適な役員報酬は、売上−経費900万〜1,500万円で月54万円にそろいました。月54万円(年648万円)の給与所得は474.4万円で、18級(500万円未満)に収まります。報酬を上げて給与所得が500万円を超えると19級に上がるので、等級の境目のすぐ下に報酬を置くと保険料の段差を避けられます。もっとも、境目の前後で変わる保険料は月2,600円前後で、報酬の決め方全体の中では小さな要素です。
判定ツールの結果の読み方
判定ツールの個人側は、区市町村の国保で計算しています。神建連国保の組合員は、次のように読み替えてください。
- 法人化しても神建連国保に残る:ツールの結果より、法人化はやや有利に出る(売上−経費1,200万円で約8万〜11万円)
- 協会けんぽに移る:ツールの結果とほぼ同じ(差は数万円)
- どちらでも、保険料が下がるのは法人化の翌年10月分から
建設業許可を持っているなら、法人化で社会保険の加入が許可の要件にかかわります(建設業許可の社会保険の要件と法人成り)。労災の特別加入や許可の承継を含めた全体像は一人親方の法人化は売上いくらから?、区市町村の国保の水準は国民健康保険料の自治体別比較にあります。
一般論の分岐点ではなく、自分の売上と経費で判定ツールを動かして確かめてください。
まとめ
- 神建連国保の保険料は、加入者全員の前年の総所得で決まる31等級の世帯単位の定額(共済会費1,300円込みで月16,200〜87,000円、23歳未満・30歳未満は別)
- 個人のままだと横浜市の国保より年5万〜22万円安い程度で、31級は横浜市の国保の上限より高い
- 法人化して適用除外承認で残ると、等級を決める所得が役員報酬の給与所得に変わり、売上−経費1,200万円で31級→18級、保険料は年54.9万円下がる
- 残る場合の損益分岐点は1,161万円(40〜64歳1,172万円)で、判定ツールより77万〜111万円下がる
- 等級は前年の所得で決まるので、保険料が下がるのは法人化の翌年10月分から
よくある質問
神建連国保の「総所得」には何が入りますか?
事業所得・不動産所得・利子所得・給与所得・総合課税の配当所得・短期譲渡所得・雑所得の合計(損益通算後)と、総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計の2分の1です。純損失や雑損失の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額です。
家族が加入すると保険料は増えますか?
等級は加入者全員の総所得の合計で決まり、家族1人ごとの保険料は等級表にありません。40〜64歳の家族は介護保険料が1人月3,800円加わり、所得のある家族はその所得が合計に入ります。
法人化しても神建連国保に残れますか?
組合は、建設国保に加入中の人が法人事業所を設立するなどで社会保険の加入対象になったときは、年金事務所に申請することで建設国保を続けられると案内しています。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。