役員報酬

役員の食事補助は月7,500円まで非課税。令和8年改定

2026年4月から、会社が役員へ支給する食事の所得税非課税限度額は月7,500円へ上がりました。本人50%負担、現金支給、社会保険の扱いを分けて解説します。

2026年4月1日から、役員や従業員へ支給する食事の所得税非課税限度額は、会社負担で月7,500円へ上がりました。改正前の月3,500円から4,000円の引上げです。

ただし、会社が7,500円を現金で渡せばよい制度ではありません。食事を現物で支給し、役員本人が食事価額の50%以上を負担することも必要です。所得税が非課税でも、社会保険では現物給与として報酬に含む場合があります。

非課税には「本人50%以上」と「会社7,500円以下」の両方が必要

国税庁が示す要件は2つです。

  1. 役員が食事の価額の50%以上を負担している
  2. 食事の価額から役員負担を引いた会社負担が、1か月当たり7,500円以下である

金額判定は消費税と地方消費税を除いた額で行います。どちらか一方だけでは足りません。

たとえば月1万3,000円の食事に対して役員が6,000円、会社が7,000円を負担する場合、会社負担は7,500円以下です。しかし役員負担は食事価額の半分である6,500円に届きません。国税庁の例でも、この差額7,000円は給与として課税されます。

反対に役員が6,500円、会社が6,500円を負担すれば、50%要件と7,500円要件の両方を満たします。限度額は「会社負担だけを見ればよい数字」ではありません。

食事価額ごとの最大会社負担を計算

node scripts/yakuin-shokuji-hojo.mjs で、2要件を同時に満たす会社負担の最大額を計算しました。金額は税抜です。

月の食事価額役員の最低負担会社の最大負担年間の会社負担
8,000円4,000円4,000円48,000円
13,000円6,500円6,500円78,000円
15,000円7,500円7,500円90,000円
20,000円12,500円7,500円90,000円
30,000円22,500円7,500円90,000円

月の食事価額が1万5,000円までは、本人50%負担の条件が会社負担を決めます。1万5,000円を超えると、会社負担7,500円の上限が先に効きます。会社負担を最大にする境目は食事価額1万5,000円です。

この改正で、非課税にできる会社負担の年間上限は4万2,000円から9万円へ増えました。

適用時期月の非課税限度額年間上限改正前との差
2026年3月まで3,500円42,000円
2026年4月以後7,500円90,000円48,000円

年間4万8,000円の差は、役員報酬を4万8,000円増やした場合と同じではありません。適正な食事の現物支給なら、所得税上の給与収入を増やさずに会社が費用を負担できます。

現金の食事手当は原則として全額が給与

非課税の中心は、会社が食事を用意する、弁当を購入して渡す、契約した食事サービスを利用させるなどの現物支給です。役員が自由に使える現金を「食事手当」として振り込む場合、原則として全額が給与課税されます。

給与明細に「食事補助7,500円」と書くだけでは、現物支給に変わりません。役員個人のクレジットカードで自由に外食し、領収書の確認もなく一律額を渡す運用も、実費弁償とは区別されます。

例外として、深夜勤務者へ現物の夜食を用意できないため現金を渡す場合は、1食当たり税抜650円以下なら課税しなくてよい扱いがあります。この650円も2026年4月に従来の300円から引き上げられました。通常の昼食補助へそのまま使える例外ではありません。

また、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、通常の食事補助とは別の取扱いがあります。一人社長が毎日の昼食を「残業食」と呼ぶだけで要件を満たすものではなく、実際の勤務状況と支給記録が必要です。

一人社長でも対象だが、役員だけの私的な食事と分ける

国税庁の案内は「役員や使用人」を対象にしており、一人社長を一律に除外していません。従業員がいない会社でも、食事の現物支給と本人負担の事実があれば制度を検討できます。

ただし、会社の経費にすることと所得税を非課税にすることは別の判定です。取引先との会食なら交際費800万円の上限の論点が先に来ます。役員の健康維持を目的とする支出でも、一人社長の人間ドックのように、役員だけを対象とした高額な利益は給与課税の検討が必要です。

食事補助として処理するなら、少なくとも次の記録を揃えます。

  • 対象者と利用条件を定めた社内規程
  • 食事を提供した日と価額
  • 会社が実際に食事提供者へ支払った記録
  • 役員から徴収した本人負担額
  • 税抜額で50%と7,500円を判定した計算表

会社が費用を払っただけで、役員から本人負担を徴収していない場合は50%要件を満たしません。役員借入金や立替金と相殺した場合も、仕訳だけでなく本人負担が実際に確定・回収されているかを残します。

所得税非課税でも社会保険では現物給与になり得る

所得税の7,500円基準を満たしても、健康保険・厚生年金の報酬から自動的に外れるわけではありません。日本年金機構は、食事を含む現物給与を通貨へ換算し、報酬へ合算して標準報酬月額を決めると案内しています。

2026年4月からの現物給与価額は都道府県別です。東京では、食事3食を1か月支給する価額が2万5,500円、昼食だけなら1日300円です。実際に本人が負担した額があるときは、その取扱いも含めて社会保険側で計算します。

つまり、次の3つの金額は同じとは限りません。

判定基準にする金額
所得税の非課税実際の食事価額、本人負担50%、会社負担7,500円
社会保険の報酬厚生労働大臣が定める都道府県別の現物給与価額等
法人の費用会社が事業として実際に負担した食事代

役員の通勤手当も、所得税では非課税でも社会保険では報酬に入る点が共通します。非課税手当を増やすときは、所得税だけでなく標準報酬月額の等級が動くかを確認してください。

役員報酬の代わりに自由に置き換えられる制度ではない

月7,500円の食事補助は、毎月の役員報酬を同額だけ下げて置き換えるための制度ではありません。役員報酬を期中に下げれば、役員報酬の期中変更で扱う定期同額給与の問題が生じます。

食事補助を新設する場合は、役員報酬の決議、食事規程、本人負担の徴収を別々に記録します。給与を減らした事実を食事補助で埋めたように見える運用は避け、次の事業年度の報酬設計時に年間の会社負担と社会保険をまとめて確認します。

当サイトの判定ツールは、役員報酬と法定福利費を中心に比較し、食事の現物給与を入力項目にしていません。年間上限9万円は役員報酬全体に比べれば小さいものの、標準報酬月額の等級の境目では保険料が段階的に動きます。一般的な非課税額だけでなく、自分の役員報酬を含めた総額で確かめてください。

まとめ

  • 2026年4月から、食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額は会社負担で月7,500円
  • 役員が食事価額の50%以上を負担し、会社負担が税抜7,500円以下という両方の要件が必要
  • 最大会社負担は年9万円で、改正前より年4万8,000円増えた
  • 自由に使える現金の食事手当は原則として給与課税
  • 所得税が非課税でも、社会保険では都道府県別の現物給与価額を報酬へ加える場合がある

よくある質問

一人社長だけの会社でも食事補助を非課税にできますか?

役員も制度の対象です。食事の現物支給で、役員が価額の半分以上を負担し、会社負担が税抜月7,500円以下という両方の要件を満たす必要があります。

月7,500円を現金で役員へ渡しても非課税ですか?

原則として現金の食事手当は給与課税です。食事そのものを会社が支給する場合と、使途を自由にできる現金手当は分けて扱います。

所得税が非課税なら社会保険料にも入りませんか?

同じではありません。食事の現物給与は、日本年金機構の都道府県別価額を基に報酬へ加える場合があるため、給与計算では所得税と社会保険を別に判定します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。