役員報酬

役員報酬の手取り早見表(令和8年)。月50万円で手取り39.0万円

結論

東京・40歳未満・扶養なしで、役員報酬が月30万円なら手取りは月24.1万円、月50万円なら月39.0万円、月100万円なら月71.7万円です(令和8年分・2年目以降)。手取り率は月10万円の85.7%から月100万円の71.7%まで下がります。

  • 法人化1年目は住民税が個人事業の前年所得で決まるため、事業所得935万円から月54万円に切り替えた人は手取りが月3.6万円少ない
  • 額面を1万円上げたときに増える手取りは、等級の境目と基礎控除の段差で月4,300円〜8,800円まで倍以上ぶれる
  • 会社が払う額(額面+会社負担の社会保険料)に対する手取りは、月50万円で68.2%

この表は、すでに社長になっている人と、法人化したら毎月いくら使えるのかを知りたい個人事業主の両方に向けたものです。社会保険料の表と源泉徴収の表はよく見かけます。しかし、住民税まで引いた後の「振り込まれて自由に使える額」を役員報酬ごとに並べた表は、意外に見当たりません。

全部の数字を当サイトの計算エンジンで出しています。前提は令和8年分の税率と、令和8年度の協会けんぽ(東京)・厚生年金の保険料率です。

役員報酬別の手取り早見表

東京都・40歳未満・扶養なしの一人社長で、賞与なし、同じ額の役員報酬を前年から受け取っている(法人化2年目以降)ケースです。

額面の月額社会保険料所得税住民税手取り(月)手取り(年)手取り率
月10万円1.4万円0.0万円0.0万円8.6万円102.8万円85.7%
月15万円2.1万円0.0万円0.3万円12.5万円150.5万円83.6%
月20万円2.8万円0.1万円0.7万円16.4万円196.3万円81.8%
月25万円3.7万円0.2万円1.0万円20.1万円241.3万円80.4%
月30万円4.3万円0.4万円1.3万円24.1万円289.1万円80.3%
月35万円5.1万円0.5万円1.6万円27.8万円333.2万円79.3%
月40万円5.8万円0.7万円1.9万円31.6万円378.8万円78.9%
月45万円6.2万円0.9万円2.3万円35.5万円426.4万円79.0%
月50万円7.1万円1.3万円2.6万円39.0万円468.6万円78.1%
月54万円7.5万円1.6万円2.9万円42.1万円504.8万円77.9%
月60万円8.4万円2.7万円3.3万円45.7万円547.8万円76.1%
月65万円9.2万円3.4万円3.7万円48.7万円584.3万円74.9%
月70万円9.5万円4.3万円4.1万円52.1万円625.4万円74.4%
月80万円9.9万円6.3万円5.0万円58.7万円704.8万円73.4%
月90万円10.4万円8.3万円6.0万円65.4万円784.4万円72.6%
月100万円10.9万円10.5万円6.9万円71.7万円860.2万円71.7%

※ 東京都(協会けんぽ)・40歳未満・扶養なし。令和8年分の税率・令和8年度の保険料率(data/rates-2026.json)。社会保険料は本人負担分(健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金)。所得税は復興特別所得税を含む年末調整後の年税額、住民税は前年も同額の役員報酬だった場合の年税額(東京23区の標準税率・均等割5,000円)で、いずれも12で割った月平均。賞与なし。当サイトの計算エンジン(scripts/yakuin-hoshu-tedori-hayamihyo.mjs)で算出

表の読み方で押さえておきたいのは2点です。

1つ目は、月30万円までは社会保険料が税金より大きいことです。月30万円なら社会保険料4.3万円に対し、所得税と住民税の合計は1.7万円です。所得税と住民税の合計が社会保険料を上回るのは、月80万円あたりからです。

2つ目は、月65万円を超えると社会保険料の増え方が鈍ることです。令和8年度の厚生年金は、報酬月額63万5,000円以上が最高等級(標準報酬月額65万円)で頭打ちになります。そこから上で増えるのは健康保険料だけです。厚生年金の上限は今後段階的に引き上げられる予定で、その影響は厚生年金の上限が75万円へで試算しています。

扶養と年齢で、手取りはいくら変わるか

同じ額面でも、配偶者を扶養しているか、40歳以上かで手取りが動きます。月30万円・月54万円・月80万円の3点で比べます。

額面の月額基本(扶養なし・40歳未満)配偶者(無収入)あり40〜64歳(介護保険料あり)
月30万円24.1万円24.6万円23.9万円
月54万円42.1万円42.7万円41.7万円
月80万円58.7万円59.7万円58.3万円
月100万円71.7万円71.7万円71.2万円

※ いずれも東京都・賞与なし・2年目以降の手取り(月平均)。当サイトの計算エンジン(scripts/yakuin-hoshu-tedori-hayamihyo.mjs spouse / age40)で算出

配偶者控除による差は月0.5万〜1.0万円です。月100万円で差が0になるのは、合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除が受けられなくなるためです。

40歳になると介護保険料が健康保険料に上乗せされ、月54万円で月0.4万円ほど手取りが減ります。介護保険料そのものの計算は40歳で法人化すると介護保険料はいくら増える?で扱っています。

なお、健康保険の被扶養者になった配偶者は保険料を払う必要がありません。個人事業主のときに配偶者の分まで払っていた国民健康保険料・国民年金保険料が消える効果は、この表には入っていません。役員報酬の手取りとは別の、世帯の手取りとして効いてきます。

法人化1年目は、手取りが月3.6万円少ない

早見表は2年目以降の数字です。法人化した最初の年は、住民税だけが別の計算になります。

住民税は、前年1月1日から12月31日までの所得をもとに課税されます(総務省)。法人化した年に払う住民税は、役員報酬ではなく個人事業のときの所得で決まっています。個人事業の所得が高かった人ほど、1年目の手取りは早見表より少なくなります。

売上1,200万円・経費200万円(青色申告特別控除後の事業所得935万円)の個人事業主が法人化し、月54万円の役員報酬を取った場合で計算しました。

住民税(年)手取り(月平均)
法人化1年目(前年は個人事業)77.7万円38.4万円
2年目以降(前年も役員報酬)34.4万円42.1万円

※ 東京23区・40歳未満・扶養なし・インボイス登録あり。1年目の住民税は事業所得935万円に対する年税額(当サイトの計算エンジン)

差は月3.6万円、年43.4万円です。しかも1年目の住民税は、給与から天引きされる特別徴収ではなく、自分で納付書で払う普通徴収になることが多く、6月・8月・10月・翌1月の4回にまとまって来ます。月ごとの資金繰りで見ると、平均以上に重く感じるはずです。どの時点で切り替わるかは法人化した年に届く住民税は個人事業の額で詳しく説明しています。

1万円上げても、手取りが4,300円しか増えない帯がある

役員報酬を決めるときは、「あと1万円上げたら手取りはいくら増えるか」も見ておくと判断しやすくなります。

額面の月額1万円増やすと手取りは手元に残る割合
月10万→11万円+8,297円83.0%
月20万→21万円+6,529円65.3%
月30万→31万円+6,379円63.8%
月40万→41万円+8,792円87.9%
月50万→51万円+8,383円83.8%
月54万→55万円+4,985円49.8%
月60万→61万円+4,293円42.9%
月63万→64万円+4,301円43.0%
月64万→65万円+7,258円72.6%
月80万→81万円+5,551円55.5%
月100万→101万円+4,963円49.6%

※ 東京都・40歳未満・扶養なし・2年目以降。当サイトの計算エンジン(scripts/yakuin-hoshu-tedori-hayamihyo.mjs marginal)で算出

増える額が月4,300円から8,800円まで、倍以上ぶれています。原因は3つあります。

1. 標準報酬月額の等級の境目。 社会保険料は報酬月額そのものではなく、等級ごとの標準報酬月額にかかります。月40万→41万円はどちらも標準報酬月額41万円の等級なので、保険料が増えず87.9%が残ります。月30万→31万円は等級が1つ上がるので、保険料が一段まとめて増えます。等級の区切りは標準報酬月額の等級表にあります。

2. 基礎控除の段差。 令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円、489万円を超えると67万円です(国税庁)。役員報酬だけの人なら、額面で月55万5,000円前後がその境目です。ここを越えると所得税が年3.8万円ほど増えます。詳しくは基礎控除104万円が使えるのは所得489万円までで扱っています。

3. 所得税率の段差。 課税所得が330万円を超えると所得税率が10%から20%に上がります。上の2つと重なる月55万〜63万円の帯は、1万円上げても半分以下しか残りません。

逆に月64万→65万円で72.6%に戻るのは、どちらも同じ等級(標準報酬月額65万円)で保険料が1円も増えないためです。厚生年金はこの等級が上限なので、ここから上は健康保険の等級が上がるときだけ保険料が増えます。

会社が払う額から見ると、手取りは7割を切る

一人社長の場合、会社負担の社会保険料も結局は自分の会社のお金です。会社から出ていく総額に対して、手元にいくら残るかも見ておきます。

額面の月額会社の支出(月)手取り(月)会社の支出に対する手取り
月20万円22.9万円16.4万円71.4%
月30万円34.4万円24.1万円70.1%
月50万円57.3万円39.0万円68.2%
月54万円61.7万円42.1万円68.2%
月80万円90.2万円58.7万円65.1%
月100万円111.1万円71.7万円64.5%

※ 会社の支出=額面+会社負担の社会保険料(子ども・子育て拠出金を含む)。東京都・40歳未満・扶養なし。当サイトの計算エンジン(scripts/yakuin-hoshu-tedori-hayamihyo.mjs company)で算出

会社負担分の内訳と「会社が半分払う」の意味は一人社長の社会保険料はいくら?で詳しく扱っています。

ただし、手取りだけで役員報酬を決めると判断を誤ります。報酬を下げれば個人の手取りは減りますが、そのぶん会社に利益が残り、法人税がかかります。個人の手取りと会社に残るお金の合計が最大になる額は別に探す必要があり、売上1,200万円・経費200万円なら月54万円前後になります。その求め方は役員報酬はいくらが最適かで説明しています。

この早見表は「生活費として毎月いくら必要か」から逆算するための表です。会社の利益と合わせた判断は、自分の売上と経費を入れてシミュレーターで確かめてください。

まとめ

  • 東京・40歳未満・扶養なしなら、手取りは月30万円で24.1万円、月50万円で39.0万円、月100万円で71.7万円(令和8年分・2年目以降)
  • 月30万円までは社会保険料が税金より大きい。厚生年金は報酬月額63万5,000円以上で頭打ちになる
  • 法人化1年目は住民税が個人事業の前年所得で決まるため、事業所得935万円から月54万円に切り替えると手取りは月3.6万円少ない
  • 1万円上げたときに増える手取りは、等級の境目・基礎控除の段差・税率の段差で月4,300円〜8,800円まで動く
  • 役員報酬の額は個人の手取りだけでなく、会社に残る利益と合わせて決める

よくある質問

役員報酬の手取りは会社員の給料の手取りと同じですか

同じ額面なら、社会保険料・所得税・住民税の計算は会社員と同じです。違うのは雇用保険料がかからない点で、役員は雇用保険の被保険者にならないため、その分だけ会社員より手取りがわずかに多くなります。

毎月の源泉徴収額と、この表の所得税が違うのはなぜですか

この表の所得税は、年末調整で精算した後の年税額を12で割った月平均です。毎月の源泉徴収は月額表で概算しているので、月々の天引き額とは数百円〜数千円ずれ、その差は年末調整で精算されます。

賞与を出すと手取りは変わりますか

年間の総額が同じでも、賞与に回した分は標準賞与額に保険料がかかるため、社会保険料が変わります。役員への賞与は事前確定届出給与として届け出ないと法人の損金にならない点にも注意が必要です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。