社会保険

全建の建設国保は法人化で月2,300円上がる。残れば分岐点はほぼ同じ

結論

全国建設工事業国保の令和8年度保険料は、年度当初40〜54歳の一人親方(第五種)が月28,200円、法人事業所の事業主(第一種)が月30,500円で、法人化すると月2,300円(年2.8万円)上がります。30〜39歳は月2,600円、55〜64歳は月2,400円の差です。法人化した日などから14日以内に適用除外承認を受けて残れば、単身の損益分岐点は1,259万〜1,264万円で、判定ツール(1,255万〜1,277万円)とほぼ同じです。協会けんぽに移ると1,736万〜1,810万円です。

  • 年齢区分は年度当初の年齢で決まり、年度途中では変えない。介護分は40歳の到達月から65歳の到達月の前月分までかかる
  • 家族は1人ごとの定額で、23〜64歳は40歳到達月以後13,100円。4人まで賦課し5人目からは免除(介護分を除く)
  • 組合は、適用除外承認を受けた上での建設国保への加入は国土交通省が認める社会保険加入の基準を満たし、改めて協会けんぽに入る必要はないと案内している

全国建設工事業国民健康保険組合(全建の建設国保)は、組合員を「法人事業所の事業主」「一人親方」などの種別と年齢区分で分けた定額の保険料にしています。

一人親方が法人を作って社長になると、種別が第五種(一人親方)から第一種(法人事業所の事業主)に変わります。ただ、その差は月2,300〜2,600円と、ほかの建設国保より小さめです。この記事では、組合の保険料表から年齢帯ごとの差を読み取り、組合に残る場合と協会けんぽに移る場合の損益分岐点を当サイトの計算エンジンで出しました。

一人親方と法人の事業主の差は月2,300〜2,600円

令和8年度の組合員の月額(医療分+子ども子育て支援金分+後期高齢者支援金分+介護分)は次のとおりです。

年度当初の年齢第五種(一人親方)第三種(個人事業所の事業主)第一種(法人事業所の事業主)法人化で上がる額
30〜39歳(40歳到達月の前月まで)22,800円22,800円25,400円2,600円
40〜54歳28,200円28,200円30,500円2,300円
55〜64歳(65歳到達月の前月まで)29,000円29,000円31,400円2,400円

組合の表の区分では、30〜39歳がC区分(40歳未満)、40〜54歳がD区分(55歳未満)、55〜64歳がE区分(65歳未満)。40〜54歳の第一種の内訳は医療21,200円・子ども400円・後期5,000円・介護3,900円。

一人親方(第五種)と個人事業所の事業主(第三種)は同じ額です。法人化すると第一種になり、40〜54歳で月2,300円(年2.8万円)上がります。東京土建国保(月1万2,800円)や中建国保(月6,400円)と比べると小さい差です(東京土建国保の一人親方の法人化)。

年齢区分は年度当初の年齢で決まり、年度の途中では変わりません。ただし介護分は、40歳の到達月から65歳の到達月の前月分までかかるので、年度の途中で40歳になった人は、その月から介護分3,900円が加わります。

家族は1人ごとの定額

家族の保険料は年齢で決まり、23〜64歳は医療6,300円・子ども400円・後期2,500円で9,200円、40歳到達月以後は介護分を足して13,100円です。家族は4人まで賦課し、5人目からは免除されます(介護分は免除の対象外)。

法人化後も残る条件と、建設業許可との関係

組合は、法人化した日などから14日以内に年金事務所へ健康保険適用除外の申請をして承認を受ければ、建設国保に継続して加入できると案内しています。厚生年金保険の資格取得届は5日以内です。期限を過ぎると手続きに支障が生じる場合があるので、法人化の予定が決まったら、決定前でも早めに所属支部へ相談するよう求めています。

組合はさらに、適用除外承認を受けた上での建設国保への加入は、国土交通省が認める社会保険加入の基準を満たしているため、改めて協会けんぽへ加入する必要はないとしています(平成24年7月30日の国土交通省の通知)。建設業許可や元請からの社会保険加入の確認で、「法人なら協会けんぽに入らないといけない」と考える必要はないということです。許可の要件との関係は建設業許可の社会保険の要件と法人成りで扱っています。

適用除外承認の要件の一般論は国保組合は法人化後も続けられる?適用除外承認の4要件と14日の期限にまとめています。

残れば分岐点はほぼ変わらない

計算エンジンで、法人化の実質差額を3通りに計算しました。

  • 判定ツール:個人側は福岡市の国保、法人側は協会けんぽ+厚生年金
  • 建設国保に残る:個人側は第五種、法人側は適用除外承認を受けて第一種+厚生年金
  • 協会けんぽに移る:個人側は第五種、法人側は協会けんぽ+厚生年金
条件判定ツール建設国保に残る協会けんぽに移る
30〜39歳・単身1,277万円1,259万円1,736万円
40〜54歳・単身1,255万円1,262万円1,810万円
55〜64歳・単身1,255万円1,264万円1,805万円
40〜54歳・配偶者あり1,034万円1,127万円1,417万円

損益分岐点(売上−経費。500万円以上を1万円刻みで探した)。経費300万円・福岡市の国保(令和8年度)・青色申告65万円(e-Tax)・インボイス登録済み・建設業(請負業=個人事業税5%)・合同会社・協会けんぽ福岡支部。配偶者は40〜59歳・収入なしで、組合では家族として加入。組合の保険料は組合員本人が払う前提。法人化(最適な役員報酬)の手取りから個人の手取りと税理士報酬の増加分を引いた2年目以降の実質差額がプラスになる額。2026年(令和8年)分の税率・料率による概算。再計算は node scripts/zenken-kokuho-houjinka.mjs。

単身なら、組合に残る場合の分岐点は判定ツールとの差が20万円以内です。法人化で上がる保険料が月2,300〜2,600円と小さいので、定額の保険料が両側でほぼ同じ額で続き、法人化の損得は税と厚生年金でほぼ決まります。

協会けんぽに移ると、分岐点は約460万〜560万円上がります。個人のままなら年33.8万円(40〜54歳)で済む健康保険が、法人では役員報酬に比例する保険料になるためです。

売上−経費ごとの実質差額(40〜54歳・単身)

売上−経費福岡市の国保建設国保(第五種)判定ツール建設国保に残る協会けんぽに移る
500万円53.4万円33.8万円−51.7万円−58.2万円−67.3万円
700万円76.3万円33.8万円−33.6万円−41.9万円−63.2万円
900万円93.5万円33.8万円−24.0万円−40.7万円−64.8万円
1,200万円110.8万円33.8万円−6.7万円−9.3万円−50.1万円
1,500万円113.0万円33.8万円+24.9万円+30.7万円−19.6万円
2,000万円113.0万円33.8万円+63.9万円+86.4万円+20.6万円

前提は上の表と同じ。実質差額はプラスが法人化有利。

配偶者がいる場合

協会けんぽなら、収入のない配偶者は被扶養者で保険料0円です。建設国保に残ると、40〜64歳の配偶者には家族の保険料(月13,100円、年15.7万円)がかかり続けます。そのため、配偶者がいる場合は組合に残っても、分岐点は判定ツールの1,034万円から1,127万円へ93万円上がります。40〜64歳の家族の保険料が東京都弁護士国保(月19,700円)より安いぶん、上がり幅は小さめです(弁護士国保の法人化では258万円)。

判定ツールの結果の読み方

  • 単身で組合に残る:ツールの結果をほぼそのまま使える
  • 配偶者が家族として加入していて残る:分岐点がツールより約90万円上にあると考える
  • 協会けんぽに移る:分岐点がツールより500万円前後上にあると考える

労災の特別加入や許可の承継を含めた一人親方の法人化の全体像は一人親方の法人化は売上いくらから?、区市町村の国保の水準は国民健康保険料の自治体別比較で確かめられます。

一般論の分岐点ではなく、自分の売上と経費、家族の構成で判定ツールを動かして確かめてください。

まとめ

  • 全建の建設国保は、40〜54歳の一人親方(第五種)が月28,200円、法人事業所の事業主(第一種)が月30,500円で、法人化で上がるのは月2,300円
  • 年齢区分は年度当初の年齢で決まり、介護分は40歳の到達月から加わる
  • 法人化した日などから14日以内に適用除外承認を受ければ残れ、組合はそれで国交省の社会保険加入の基準を満たすと案内している
  • 単身で残れば分岐点は1,259万〜1,264万円で判定ツールとほぼ同じ。協会けんぽに移ると1,736万〜1,810万円
  • 配偶者が家族として加入していると、残っても分岐点は1,034万円から1,127万円に上がる

よくある質問

全建の建設国保で、法人化したら種別の届出は要りますか?

組合は、法人化を予定している人は決定前の段階でも早めに所属支部へ相談するよう案内しています。法人化した日などから14日以内に年金事務所へ健康保険適用除外の申請をして承認を受ける必要があり、厚生年金保険の資格取得届は5日以内です。

年度の途中で40歳になったら保険料はどう変わりますか?

年齢区分そのものは年度当初の年齢で決まり、年度途中では変わりません。ただし介護分は40歳の到達月(誕生日の前日の属する月)から加算されるので、その月から介護分3,900円が加わります。

建設業許可の社会保険の要件は満たせますか?

組合は、適用除外承認を受けた上での建設国保への加入は国土交通省が認める社会保険加入の基準を満たしているため、改めて協会けんぽへ加入する必要はないとしています(平成24年7月30日の国土交通省の通知)。厚生年金には加入します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。